現場に着くと、不動産屋と銀行の担当者など数名、あとは運悪く破産してしまった売主が既に集まっていました。破産の現場らしく、窓もない暗い陰気な部屋であったことを覚えています。
実は前の晩に、不動産業者と打ち合わせをした時、「相手は破産していて落ち込んでいるんだから、おいしい物件を手に入れたとはしゃいじゃダメだよ」とアドバイスされていました。あくまでも無表情で、事務的に相手の気に障らないように振舞えと。そうでないと本当に刺されるかもしれないよと脅されていたので、私は役者張りに青い顔をしていたと思います。
その不動産屋は当日時間がなくて見に行くこともできませんでしたし、たまたま自由になるお金がなかったということで、年中出入りしていた私に話を振ってくれたのです。
それで、実際に見に行った私は、正直にあまりいい印象ではなかったと不動産屋に話をしたのですが、聞くと価格が通常の半額レベルだったのです。利回りで言うと20%を超えていて、どうしても明日までに現金を用意しないと手に入れられないということで、慌てていたとのことでした。
印象は良くなかったのですが、利回り20%で一応安定した入居者であること、また、その時は運よく無担保ローンカードの枠が目一杯空いていたことなどの、良い条件が重なったため、私は購入を決意しました。
何がなんだか良く分からないまま、物件の住所と名前だけしか聞く時間がなかったのですが、その人の言うことに間違いはないと信じていましたので、その日の午後は仮病をして物件を見に行きました。もちろん仮病の名は腰痛です。
至急の物件は速攻で判断をしないと、すぐに他の人のところに流れていってしまいます。物件の査定を一生懸命するのも重要ですが、まあ損はないと思ったら判断してしまわないと一般の人がお宝不動産を手に入れるのは難しいです。
その後、会社から遠路はるばる隣の県まで足を運んで、見に行った物件は駅からだいぶ離れたものでした。まあ古くはなかったのですが、あまりパッとした印象もなく、まあ土地付の一戸建てだなと思ったくらいのものでした。





